『ノーディスク・ミュージックガイド〜iTunes Music Storeですぐ聞ける1000曲案内』(ライブドア・パブリッシング)についての情報

一般情報

題名 ノーディスク・ミュージックガイド〜iTunes Music Storeですぐ聞ける1000曲案内
著者 No Disc Music Guides
出版社 ライブドア・パブリッシング
ISBN 4-7794-0032-5
初版発行2005-12-16
定価 本体1,400円(税込1,470円)

入手方法

全国の書店で購入可能ですが、大きい本屋でないと売ってないとの情報もあります。ウェブ上からは以下のサイトで購入可能なようです。

内容紹介

その他の情報

編集部コメント

<アウトライン>……iTMSのラインナップから、ワイン、ドライブ、散歩にニート、100のシーンにぴったりな1000曲をガイド。登場するのは、細野晴臣、テイ・トウワ、田中知之、ボノボ、クラムボン、曽我部恵一、横山剣、一青窈、坂本美雨、橋本徹、アフラ、ハイファナ、宇川直宏、、、他! 本秀康、いましろたかし、やまだないと、西島大介によるiTMSまんが、ばるぼらによる音楽配信の歴史年表も収録。ブックデザイン一式は常盤響せんせい。

<ポイント>……iTunes Music Storeはじまったけど、なんか使えない〜。曲ぜんぜん入ってない〜。という人に捧げる、ディスクのないディスクガイド。著名人、有識者が、こんな曲も入ってますよ〜とテーマ別に1000曲、リコメンドします。公式サイトではすべての曲に直リンクを設置していますので、検索の手間なくワンクリックで曲を呼び出し視聴可能です。というのがメインで100ページあって、あとはインタビューとまんが(レコなしレコスケ!)とグラビア、そして『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』で変態的な博覧強記っぷりを轟かせた怪人、ばるぼらによる「教科書には載らない音楽配信の歴史年表」つき。

序文(※書籍には収録されていません)

SP盤、レコード、カセットテープ、CD、DAT、MD……コンサート会場という時間と場所が限定された空間から我々に音楽を開放した複製可能な記録媒体の系譜は、社会や経済をはじめとする、時代の様々な要素と共に変革をなしてきたが、そこに共通していたのは形あるモノとして物理的な所有が可能だった点だ。だが現在最も注目されているインターネットを介した音楽配信は、一曲一曲がデータファイルとして扱われる。それらはハードディスクに記録された磁気であり、ついに音楽は目に見える偶像がなくなってしまった。ファイルをiPodなどの携帯プレイヤーにコピーしても、それはいつでも入れ替え可能な仮の容器であって、レコードコレクターが感じるようなフェティッシュはない。

しかしそれでいいのだと思う。エジソンが蓄音機を発明し、ベルリーナが円盤式レコード、その名の通り「記録(record)」する媒体を発明してから既に百年以上が経っているが、LPレコードが最盛期だったのは五〇年代後半〜八〇年代半ばのせいぜい三〇年、現在メインで流通しているCDの歴史もたかだか二〇年程度であり、そろそろ次の記録メディアに移行する時期が迫っていると考えるのが妥当ではないだろうか。

形あるものが必ずしも良いとは限らない。記録時間が短いSPレコードは嫌でも収録曲の長さが短いものになるし、レコードで発表する場合は「A面が終わったあとに盤を裏返してB面がはじまる」といった流れを作り手に嫌でも意識させる。カセットテープやMDは受け手側の再編集への欲望を堅実に表していたし、CDはレコードのAB面というドラマ性を消し去り、音質が劣化しないまま長尺の作品づくりが可能になった。記録媒体は単なる記録ではなく、それ自体の制約が音楽そのものにも関与していたのである。

ならば既に物質ではないmp3などの音楽フォーマット、およびそれを保存するハードディスクが音楽にもたらす効果とは何か。大前提として、人間の耳には聴こえない周波数が削られることによって、リスニングが不可能になってしまう音楽も少なからずあるだろうが(特に民俗音楽は超高音・超低音が重要な要素だろう)、そこを抜きにして考えた場合。それはアルバムという集合体的概念の弱体化、およびジャケットや歌詞カードなどの付属品によるイメージ操作の力の退行であり、その一曲の印象がすべてとなる音楽の力の復権である。もちろん数秒の残酷な判断を恐れて、新しいものを表現したい、試してみたいといった、音楽家側の向上意欲を殺ぎ、過剰にデコレートした、聞き覚えがあって安心できる、退屈なポップスが溢れかえる危険性は常にはらんでいる。

もうディスク(盤)は無くても構わない、そんな時代がすぐにやってくる、とはまだ言いきれない。音楽配信サービスで購入するよりは、CDをレンタルして自分でリッピングした方が安価だし(権利上の問題は残るが)、場合によってはAmazonで買ったほうが安いはずだ。ならば音楽配信の特性とは? それはあくまで曲単位で購入可能な点に注目することである。何曲かを一つにまとめて新たな文脈を作り、従来のショップでは手に入らない柔軟な価値観を提供すること。つまり無数の音源から選びだす役目、選曲家が重要な役割を担ってくる。

音楽が新しい地平に手を伸ばそうとしているこの状況を楽しんでいきたいと思う。本書はその地平で今までにない音楽に出会う手助けをするためのガイドブックである。ここではさまざまな角度・テーマに基づき、紹介文と共に、あくまで曲単位で選出してもらった。本書に掲載された音楽はすべて音楽配信サービスおよびインターネット上で手に入る。レアなレコードの自慢大会はもうやめよう。二一世紀のリスナーに捧げる、ニュー・スタンダード!

コメント

もともとワタシが企画した書籍です。最初は編著者になる予定でしたが、ワタシが心の旅にでかけて音信不通となり原稿を遅延させまくったところ、気がつくと著者は「No Disc Music Guides」に、ワタシのクレジットは「スーパーバイザー」になっていました。(笑うところ)


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最終更新日:2005年12月12日