赤身レコーズ

[AKA-038] 2010年に出た漫画でデザイン良かったの30選

この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2010(良いコミック)を見て、とても面白い企画だと思いつつ、自分の気に入っている装丁がいくつか入っていなかったので、ここに私家版を公開します。最初は上記サイトにないのだけにしようとしたのですが、被ってるのも入れました。各々が自分なりのセレクションを発表することで、漫画の装丁/デザインに興味を持つ人がどんどん増えてくると楽しいのではないかと思います。なお唐突に18禁が混じるので、苦手な人はスクロールをやめてください。

なお、普段から書店でよい表紙デザインの漫画があったらメモを取っているだけで、購入していないものもあり、とくにデザイナーは明記していません。画像はほぼAmazonから引っ張ってきました。「ブックデザインは本の内容を表しているべきである」とする考えがある一方で、「ブックデザインは独立して完成度を高めるべきである」とする考えもあります。どちらでもいいと思いますが、選者は後者寄りの考えです。イラストの良さなのか、デザインの良さなのか、という問題も出てきますが、トータルで見た結果、となります。

玄鉄絢『星川銀座四丁目 1』(芳文社・2010/8/11)

文字、色、構図、素晴らしい。今年ベスト。書体の遊び方はとても今っぽいです。 作品自体は表紙の印象よりもちょっと設定が重いような……。デザイン=名和田耕平デザイン事務所。

博『アクアリウム』(芳文社・2010/9/27)

色、構図が素晴らし。オビのコピーと絵も合ってます。デザイン=里見英樹。

たし『犬と私』(一迅社・2010/9/15)

夏!青春!っぽいデザイン。最高。他にもBLレーベルのgateau関係はレベル高かったです。 ルビコンハーツの『猫と少女』と対比で見るといいかもしれません。デザイン=BALCOLONY。

(04. 売野機子『薔薇だって書けるよ──売野機子作品集』(白泉社・2010/3/26)

モノクロの表紙が非常に目立っていました。そこにうっすら見える薔薇。デザイン=simazima。

志村貴子『志村貴子作品集 かわいい悪魔』(太田出版・2010/9/16)

3色+灰色だけでまとめたポップなデザイン。デザイン=名和田耕平デザイン事務所。

香魚子『隣の彼方』(集英社・2010/11/25)

幸が薄そうな……でも希望のようでもありそうな……予感がつまったデザインです。デザイン=ベイブリッジスタジオ。

冨明仁『柔らかい女』(エンターブレイン・2010/7/15)

色の淡さがたまりません。控えめな文字組はまたキレイ。デザイン=コードデザインスタジオ。

林雄一『コンビニロボットぽぷりちゃん』(メディアファクトリー・2010/10/23)

色や文字の配置まで、がっつりアートディレクションされてる印象。 デザイン=新上ヒロシ(ナルティス)。

亜樹新『フェティッシュベリー 1』(マッグガーデン・2010/12/15)

イラストの雰囲気と配色が相乗効果で期待を高めています。かわいい。

永田正実『好きって言わせる方法 3』(集英社・2010/11/25)

装丁が固定化されておらず毎回パターンが変わってますが3巻が一番好き。

杉本亜未『空のアンテナ』新装版(白泉社・2010/9/17)

繊細な色指定の勝利です。

郷田マモラ『星屑の少年たちへ』(双葉社・2010/4/28)

2巻では若干夜が深まって色が濃くなってます。連続性を意識したデザイン。

高田築『野ばら』(エンターブレイン・2010/8/11)

これは背表紙の文字組と、左下の英文タイポグラフィが目につきました。デザイン=コードデザインスタジオ。

木原浩勝+伊藤潤二『怪、刺す』(小学館・2010/8/12)

赤い部分はジャケに穴が空いてて本表紙が見えてるのです。怖い!怖い!

元町夏央『ふわり! 2』(小学館・2010/11/30)

ちょっと目がチラチラするぶつかりあう色指定。 1巻より2巻の方が迫力がある気がします。 デザイン=新上ヒロシ(ナルティス)。

原克玄『みんな生きてる~コラーゲンの章~』(小学館・2010/8/30)

もやしもんではありません。同時発売の『~優しいコレステロールの章~』と二冊並ぶとまた良い。

She is beautiful 下──恋をしたらブスになった。なんで?』(ビオ・マガジン・2010/5/29)

上巻はピンク。一色に大胆にまとめると書店に並んだ時にそこだけポカンと穴が空いたように目立ちます。 デザイン=名和田耕平デザイン事務所。 赤みつ『ラブハンター──運命の男をさがせ!』とどっちにするか迷いました。 bio comicsは今のところ全部デザイン良いと思います。

新井祥『あのころ俺は女子校生』(芳文社・2010/12/4)

リキテンシュテイン的ポップアート風。本デザインではオビで脛毛などが隠れてます。意図的に雑多にしたであろうフォントの多種多様さも面白いです。

浅野いにお『Ctrl+T mini 浅野いにおWORKS』(小学館・2010/9/30)

それぞれの顔のトリミングが絶妙。配色も良い。

仙石寛子『三日月の蜜』(芳文社・2010/10/7)

ぼやっとした色使いのイラストと、いじったタイトルの文字が組合わさって良い雰囲気。2009年の『背伸びして情熱』も良かったですね。

亜桜まる+野中英次『だぶるじぇい 3』(講談社・2010/11/17)

1と2巻も良かったですが、その流れで3巻を見ると色の濃さが強くどうしても印象に残ります。

水瀬マユ『むすんでひらいて 1』(マッグガーデン・2010/7/14)

落ち着いた、ある種の王道的雰囲気があります。タイトル文字がちょっと不安定なところも良い。

清原紘『コインランドリーの女』(角川書店・2010/8/4)

絵のうまさもさることながら斜め配置と半分シルエットがいい雰囲気。全体的に曲線が美しいです。清原紘関連では2007年に『きみにしか聞こえない』というこれまたすげー装丁もあります。

今日マチ子 『COCOON』(秋田書店・2010/8/5)

「今日マチ子」「COCOON」「コクーン」の三つのバランスが絶妙すぎてすごい。「COCOON」のロゴも良いです。デザイン=川名潤。今日マチ子では『七夕委員──星に願いを篇』も良かったですね。

BENNY'S『らぶえろっ娘』(マックス・2010/10/27)

2009年の『ぷるぷるっ娘』と似てますが色や構図含めこっちの方が完成されてます。文字のレイヤーもポイント。 デザイン=伸童舎、かな。

東雲太郎『姉として!』(茜新社・2010/10/22)

ロゴのポップさと金色と使い方が良い。デザインクレジットなし。

タアモ+野島伸司『スヌスムムリクの恋人』(小学館・2010/2/26)

バランスの良い配置と色使いです。タアモ関係はだいたい良いという法則。

鳥取砂丘『境界線上のリンボ 1』(芳文社・2010/3/27)

これはまずカラーイラストが素晴らしいです。その上で、イラストの核であるキャラと空のラインに極力かぶらないように文字を配置しているのがポイントです。デザイン=BALCOLONY。

長月みそか『少女素数 1』(芳文社・2010/3/12)

オビは黒いですが取ると真っ白。少女の純粋性を引き立てます。デザイン=宮村和生(5GAS)。

久米田康治『かってに改蔵 1』スペシャル(小学館・2010/4/16)

ヒット作のリニューアルデザイン。 各々の要素の重力があっちこっちに飛び回っている大胆なレイアウトで、全巻並べるとなお良い。 デザイン=佐々木暁。

なお雑誌は載せてませんが『アオハル』、『りぼんファンタジー』2号、『COMIC BOX Jr.』、『ガンガンjoker』、『COMIC LO』、『百合姫』、『プチコミック』などは安定して良かったと思います。


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